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2024/09/21/ [Sat]
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テキストの続きです。
第五話。




3日目。
即ち、4戦目だ。またもジョミーは青の間のブルーのベットの上で機械相手に殲滅線を繰り広げていた。
もう絶対に勝てないのはこれまでの3戦で良く分かった。これは覆らない。


「・・・・ねえ。ブルー?」
「ん?何?」
「僕がオセロやってるの見てて楽しいの?」
「うん。楽しいよ」
一体、何が楽しいんだろう。僕がメタクソにやられる姿を見るのが楽しいのだろうか・・・?。ジョミーは物悲しい気分になった。
「ずっと自分でプレイしてたからね。人がどう打つのか、とても興味深い。ジョミーの打ち方を知るのは、とても楽しいよ」
「だったら僕とやろうよー」
思わずベットに投げ出した足をバタつかせながら、ジョミーはブルーに訴える。態度だけ見れば、既に人のベットの上だという事はどこかに打っ遣って、完全に寛ぎモードだ。

「こう言っては何だけど、勝負にならないと思うよ?」
ダーク・ブルー相手にだって勝負になってないんだから、同じ事ならまだブルーの方が良いよーな・・・と思ったが、自分が目指さなければならないブルーに、コテンパにされては、これからのモチベーションの維持に問題が生じるかも知れない。
「そうだね。危険は回避した方が良いもんね・・・」
「そうだね」

話にならないブルーはもう置いといて、とにかくこのダーク・ブルーの方だ。
ジョミーの有する知力をどう使っても勝てないのは、ハッキリした。意図的に勝利に導く事は出来ないだろう。ならば別の手段を模索するしかない。残された最終手段。
それは即ち、運。偶然だ。

神の手だか何だか若しくは自分の無意識下による、奇跡の采配。それに全てを賭けるしかない。遂にヤケクソの様な結論に至った訳だが仕方が無い。それしかないのだ。
何時か廻ってくるであろう、その一瞬を決して見逃してはならない。ジョミーは熾烈な殲滅戦の中、その瞬間を待ち続ける事になる。
爛々と輝くブルーの紅い瞳を横目に掠め見ながら。




6日目。
あれから、夜、一戦ずつダーク・ブルーとの戦闘(最早、これはゲームじゃない)を行い、ボロボロに負かされては青の間を後にする。そんな生活が出来上がっていた。そして今日は、第7戦目。

もう、ウンザリだ。
とにかく疲れる。ジョミーはあれから奇跡の一瞬を待っているのだが、奇跡というものは唯、ボンヤリ待ってたって訪れてくれたりはしない。自分の持てる限りの能力を振り絞りダーク・ブルーの殲滅攻撃を耐え凌ぐ。ズタボロに唯ひたすら流されてる様な状態で、勝利のチャンスなど廻っては来ない。物理攻撃による1000人対一人の勝負で、どうひっくり返ろうが一人が1000人に勝利する訳が無いのと同じ事だ。
勝利を手にするには、戦線を維持し相手に力をぶつける状態をキープしなければならないのだ。なんて言うと勇ましい感じだが、翻して言うと、単に全力で掛からないと、奇跡も何もそんな物が廻ってくる前に戦線が崩壊すると言うだけの事だったりする。

ジョミーはこの六日間、一日ソルジャー候補としての日程を全て終えてヘロヘロに疲れ切った体を引き摺って青の間を訪れ、ダーク・ブルー相手の全力勝負に挑み続けていた。そろそろ限界だ。戦いを重ねる度に、ジョミーは慎重になり、既に一戦に掛かる時間は一時間を軽く越える程になっている。

でも、ここまで来たらジョミーも意地だった。打ち負かされ続けたまま匙を投げるのは何だか腹立たしい。でも正直、もう頭がパンクしそうだ。白と黒のこのパターンを何度繰り返せば終るのか。ブツブツとコマを数え続ける行為に、ジョミーはもう疲れていた。
後は、ブルーがこの不毛な戦いに飽きてくれるのを期待するしかないのだが、全然飽きてくれる気配が無い。何時でも何が楽しいのか食い入る様に横でジョミーの戦いを眺めている。因みに一言のアドバイスも一切無しだ。唯、見ているだけだ。


しかし、事件は起きた。
全く飽きた様子は無いのだが、ブルーも四日目に突入した頃、何だかだらけてきたらしい。突然ジョミーの足の上にぽすっと頭を乗せたのだ。膝枕と言うヤツだ。

『-------------------っ????!!!!!!』

ジョミーは飛び上がるほど驚いた。足にブルーの頭が乗ってるから実際飛び上がれはしなかったが、その代わりに訳の分からない所にコマを置いてしまった。因みにコンソールはサイオン制御だ。思念で操作している。なので動揺がダイレクトに伝わった。「あ」と、ブルーの呟きが上がる。
今までジョミーが何をしようとも、一言も声を掛ける事の無かったブルーが初めて口を挟んだ。くるっと顔を上に向けて不思議そうに尋ねる。

「どうして、そんなトコに置いたんだい?」
知るもんか!。
下から見上げてくるブルーの問い掛けをキレイに無視し、勝負に集中しようとしたが、勿論、無理だった。立て直そうとするも、済崩しにあっという間にひっくり返されて、そのままその日は終了。
次の日は、もう最初からブルーはジョミーの膝に陣取っていた。丁度いい場所を見つけたとばかりにすっかり、そこに落ち着いている。ジョミーの方は堪った物では無かった。前面にダーク・ブルー、膝にはソルジャー・ブルー。2体のブルーに挟撃されもうジョミーの精神は崩壊寸前だ。

(何なの?この人???!。もしかして僕に勝たせたくないとか、そーゆー事??!!!)

これはブルーの妨害工作なのかと、ジョミーは完全に疑心暗鬼に陥っていた。だって、今もってブルーの意図が分からないのだ。何だって、こんなオセロを延々やり続けなければならないのか。
さっぱり分からないけど、ブルーの頭を跳ね除けるなんてそんな事する訳無いだろう!。勿体無い!。ジョミーはもう、自分が怒ってるんだか、喜んでるんだか、何が何だか全然分からなかった。オセロなんて最早どうでもいい。
でも、ブルーを膝に乗せると言う特典付とは言え、毎夜繰り広げられる頭の痛い無限オセロには、もうホトホト飽き飽きしていたジョミーは気持ちを入れ直し、本日、7戦目を迎えた。とにかく冷静にならねば。ワザワザ伝える必要も無いとは思うが、勿論6戦目も途中で全部返された。

そうしてダーク・ブルーに神経を全集中し、膝のソルジャー・ブルーの事で気を散らす事も無く勝負を続ける、と言う離れ業をやってのける事に成功したジョミーは実に見事だったが、その代わり、何時の間にか悩みに悩んでいる間ブルーの髪を引っ掴んで揉みくちゃに掻き回すと言う訳の分からない事をしている自分に、はたと気が付いた。

(ほごおおおぉぉおおおぉーーーーー!。何やってんのお、僕ーーーーーーーーーーー!)

ブルーのくりんくりんの頭はメチャクチャな事になっていた。補聴器も何処かに行っている。よく見たらブルーが手に持っていた。

動揺のあまり、思わずジョミーはブルーに食って掛かる。
「ななななななな何で言ってくれないのさ???!!!」
「邪魔したらいけないかと思って・・・」
もう十分、邪魔になってるのに何を今更???!。
「そんなに邪魔だったのかい?」
しまった!。また漏れている。ジョミーは焦る。このままでは特典が無くなり、無限地獄だけが残される。

「じゃ・・・邪魔じゃないよ。そんな事あるわけ無いよ!。無いけど、無いけど!。つい手慰みに丁度良いとこに頭があるからっ!」
「君の慰めになるのなら、僕の頭ぐらい使って良いよ」
はい、どうぞ、とばかりに頭を差し出す。

(どうしろとーーーーーーーーーーーーー???????)

どうしたら良いのか分からなかったジョミーは、取りあえず乱れに乱れたブルーの髪の毛を手で整えて補聴器を掛け直した。柔らかくて触り心地の良い髪だった。くりんくりんのぼわっぼわだけど。
「ありがとう」
「いいえ・・・」
返した言葉は棒読みだった。そして、この日もジョミーは大敗した。
 

 

そして七日目、8戦目である。

 

--続く--










今、気が付いたんですけど。
漫画の方でジョミー、ブルーのベットにどっかり座ってますね・・・。(それはもう堂々と)
きっと、自分的には落ち着いてると思ってたけど、まだ全然テンパってて、忘れてるんですよ・・・。(忘れてたのは私だ)


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2009/08/01/ [Sat]
こめんと [ 1 ]
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COMMENT
こんにちは。
「機械」5話、ブルーに振り回されるジョミさんがやっぱり可愛いです。しして、挙動不審なようで何か深い考えがあるんじゃないかと思わせるブルーがとっても可愛いですv続きが楽しみです!
【2009/08/0207:52】||まいまい#8d3e5aeb23[ EDIT ]
Re:バナーのブルーが可愛いですねv
ふ・・・・・・深い・・考え・・・あるんでしょうか・・?。あ・・あるのかな??。あるといいな・・・????。(滝汗)
後、バナーもありがとうございます!。

では、コメントありがとうごさいました。
【2009/08/03 04:39】
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